【第819局】失われていく大局観

皆さん、こんにちは。

将棋普及棋士初段のIORIがお送りする「将棋する?」のお時間です。

それでは対局を始めさせていただきます。

 

 「AIは人間を超えるのか」という大きな問いがあるなか、将棋や囲碁の世界では、既にAIが人間を超えたという認識が強くあります。2013年に開催された電王戦(株式会社ドワンゴが主催しているAI将棋チームが参加している将棋大会)では山本一成が開発したPonanzaがプロ棋士である佐藤慎一四段に勝利しました。これが初めてAIがプロ棋士に勝ったことであり、将棋界ではシンギュラリティが起こったとされています。

 

そうしたこともあり、AIの進化によりこれからは人間の職がなくなっていくといわれています。オックスフォード大学で人工知能の研究を行なうMichael A OsborneがAIの進化により2050年に職が半分に減少すると言及したことは世界に衝撃を与えました。日本においても、堀江貴文や落合陽一が、10年後に仕事が奪われると言及するなどしています。

 

しかし、果たして将棋でAIが人間に勝つ、またAIが職を奪うことが議論点であり問題なのでしょうか。

 

以前、将棋ソフトと人間の将棋の違いの記事を書きました。

そこで、「今まで棋士が鍛えてきた物語的思考が人間の思考に一定の制約を与えていることが、物語的思考ではなく、数値的思考のソフトによって明らかになっていった。」と書きました。

 

今までは、人間は物語的思考いわゆる大局観で将棋を指してきました。しかし、AIの導入により数値的思考の将棋へと変わっていっています。

 

AIの導入により、今までの大局観(ある種の人間的思考)というものが失われつつあるのではないでしょうか。それこそが、AIが人間に勝つかといった点よりも議論すべき点であり問題視いしていく必要があるのではないかと考えます。

 

また、羽生先生の「大局観 自分と闘って負けない心」をこの機会に読み直してみたいと思います。

 

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1082文字により、対局終了になります。

ありがとうございました。