【第828局】色つきの将棋駒

皆さん、こんにちは。

将棋普及棋士初段のIORIがお送りする「将棋する?」のお時間です。

それでは対局を始めさせていただきます。

 

私は、大学時代にヨーロッパを中心に将棋普及活動を行なってきました。このことは、最初のブログを読んでいていただいている方は、既にご存知かと思います。

ヨーロッパの中でも、チェコ共和国を中心に活動してきました。このチェコ共和国では、独自で将棋駒と将棋盤をデザインし、開発しています。 

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上の写真を見てもらうと分かると思いますが、駒の下部に色がついています。

これは、容易に区別できるようにという意図が背景にはあります。この駒の下部に色をつけるというアイディアは新しいもので海外ならではの視点ではないかと考えていました。

 

 しかし、このアイディアは少なくとも嘉永六年からあったことが、ペリー著「日本遠征記」で分かります。この「日本遠征記」には、将棋とチェスの違いを図などを用いて記録されています。その一部に乗員である軍医グリーン先生は、以下のように将棋に関して記述しています。天狗太郎「将棋の民俗学」1992年から引用します。

 

『吾々の遊戯チェスと類似の日本の遊戯将棋 この遊戯は四十の駒(両者二十宛)をもち、八十一の目の(縦横九つずつ)ある将棋盤の上で二人で行われる。その番は全部同じ色である。但し目には、吾々のものと同じように便利な色づけをしてもよさそうなものある。駒も皆同じ色である。それは駒が敵に捕獲された後に両方で、自分のものとして(随意に)使うからである。駒には色々の大きさがあって、細長い楔形をして居ると同時に尖端は両側から尖らされていて、その表面には各々の駒の名前が刻まれてある…(中略)…。各プレヤーは駒の薄く尖った一端を何時も前の方、即ち自分の方から見て向う向けにして、自分の部下、即ち駒を覚えておく。然し、もし駒全部の下部に、何かはっきりした、目につく色が塗られてあったならば、もっと楽に区別がつくだろう。何故ならば駒の下部は差し手だけに見えるのだからである。ー又もし駒の頂辺が全部何か他の色で塗られていたならば、もっと楽に区別ができるだろう。即ち敵の駒の上部は相手だけに見えるからである。駒の盤の上に平に置かれる(頂辺を相手に向けて)。こうして駒の名前がはっきり見分けがつくのである。』

 

 海外の方には、色をつけるということが受け入れられるのではないかと思えます。

日本でも、天童市の駒師を中心として、女性や子供に向けたカラフルな将棋駒が開発されています。

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海外では、色をつけた駒が一般化されているなか、日本では受け入れられるのか、またはどう浸透していくのか楽しみです。

個人的には、将棋普及する身として、カラフルな将棋駒が受け入れられ、効果を発揮し、女性や子供に将棋が普及していってほしい試作品で終わってほしくない、と思います。

 

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1422文字により、対局終了になります。

ありがとうございました。